今回出品の箪笥は、先のものより大きく重量もあり、重厚感、堅牢感、存在感も抜群。 背面、底面以外は黒く塗りが施され、光沢も比較的残っています。 また、ちょっとしたカラクリも。製作が江戸か明治かなどは不明。 経年で汚れやキズ、錆び、塗り剥げなどは否めませんが、目立つ欠けや裂け、凹み、金具の損傷やガタツキなどはほぼありません。 中段右には、立派な「丸に蔦（つた）」紋、その周りの装飾金具や鋲、錠付きの開き扉が。その左に引き戸が、カラクリはこの中です。 「蔦」紋は子孫繁栄の象徴とされ、戦国武将の間で、江戸時代には、徳川家の親戚筋「松平」諸氏にも「丸に蔦」の家紋の使用が目立つようになったと解説。出品との関連は？ 引き出しは閂錠付上下段、中段左の上下、引き戸内上下、二重閂錠付開き扉内上下の全８杯です。 閂錠は本来ツマミ施錠、鍵解錠の連動。ツマミ操作は上段は固着し不可、下段と開き扉は固着は無く経年劣化か鍵解錠なしで可。元の鍵は無く古い合鍵２本を付属（写真２０）。開き扉の下閂錠は合鍵で開閉可。上閂錠は合鍵無く操作不可、ツマミ単独で開閉可。 引き戸内下段はカラクリ仕掛けで、前板の引き手では開かず前板を外す必要が。なお、引き出しはスムーズに開け閉め。 使用材は松では。板厚のある材木が使われ、底には未製材の木材が見られ、木材を活かす家具職人、流石の感？ 開き扉装飾用、引き手、留具、隅具、鋲などの金具の多くは鉄、黄赤味は黄銅です。防腐処理が後年実施かも。 大きさ（㌢）重量はおよそ次の通りです。 【箪笥】 幅８８、高８３、奥４５、全重量３２㌕／ 【引き出し（内寸）】 上段：幅７８．５、奥３７．７、深１４．２／ 下段：幅７８．５、奥３７．７、深１９．５／ 中段左上下：幅１３、奥３７．７、深１４．２／ 開扉内上下：幅３０、奥３１．７、深１３／ 引戸内上段：幅２４、奥３１．７、深１３／ 引戸内下段：幅２４、奥２８．５、深１３／ 江戸時代のものかは不明ですが、「丸に蔦」紋のある黒塗りの箪笥です。重厚感、堅牢感、存在感抜群で、８杯は十分な収納容量です。 背、底以外の表面は中性洗剤で拭取り実施。引き出し内などお手入れの上、インテリア・飾り台兼収納家具とされては。 重量物であり持ち運びは二人で、落下・ぶつけに注意。ツマミ、鍵操作は、扉や引き出しを、まず開状態で十分確認の上で。鍵の紛失にも注意。