この品は十二代今泉今右衛門による「色鍋島花文様六角花器」でございます。 　まず、最大の魅力はこの作品が色鍋島の正統を受け継ぐ今泉今右衛門家の十二代目によって手掛けられている点にあります。色鍋島は、江戸時代の鍋島藩窯で将軍家や大名への献上品として作られていた格式ある磁器様式で、繊細な染付に赤・黄・緑などの上絵付が重ねられた、非常に手間のかかる技法です。この花器にもその技法がふんだんに用いられており、上品で洗練された色彩、そして隙のない構図が器全体に格調を与えています。 　形状にも注目すべき点があります。この花器は珍しい六角形で、各面に異なる構図で花文様が描かれており、360度どこから見ても楽しめる設計になっています。これはまさに、単なる器ではなく、立体的な絵画作品としての性格を持っていると言えるでしょう。細い胴から広がる口縁へと自然に移るフォルムは、造形としての完成度の高さを物語っています。 　さらに、この花器は二重共箱に納められており、それ自体が作品の格を表しています。共箱には作家の署名と作品名が記されており、作者が自信を持って世に送り出したことを示しています。共箱は美術的・文化的な価値の保証書のような存在であり、コレクターにとっては極めて重要な要素です。 　そして何より、今泉今右衛門という名は、単に陶工の名前ではなく、日本陶芸の伝統と技術を受け継ぐ系譜そのものであり、この花器を手にすることは、その長い歴史と美意識の継承に触れるという特別な体験でもあります。 　美しさ、技巧、伝統、そして作家の格が結晶したこの作品は、単なる花器にとどまらず、空間に品格と静謐な華やかさを添える芸術品です。眺めるたびに新たな発見があるような、まさに一生寄り添える逸品といえるでしょう。 ★寸法★ 高さ27.5㎝ 胴径14㎝ 陶磁器の町、佐賀県伊万里市在住で古物商（第911100009525）を営んでおります「陶磁器ヨーソロー」と申します。 古伊万里、現代作家もの、個人で製作活動しているレアな窯元、有田焼伊万里焼の陶磁器を中心に出品しております。 未使用品に関しては陶磁器商社、骨董に関しては古物競りやコレクター依頼品でございますので、ご安心くださいませ。